はじめに

「投資を始めたいけれど、高配当株とインデックス投資、どちらを優先した方がいいのだろう?」
この悩みは、投資を始めたばかりの人だけでなく、ある程度経験を積んだ投資家でも必ず一度は通る道です。
両者は投資スタイル・リターンが異なり、それぞれにメリットとデメリットがあります。加えて、2024年から始まった新NISA制度によって、非課税で投資できる金額が大幅に増えたことで、このテーマへの関心はさらに高まっています。
この記事では、投資初心者にも分かりやすく、高配当株投資とインデックス投資の特徴や違いを整理しながら、どちらを優先すべきかを解説していきます。
結論から言うと、どちらが正解ということはなく、ライフステージや目的によって選ぶべき比重が変わります。
今回はその違いを解説した上で、具体的なおすすめファンドや銘柄例も紹介します。
インデックス投資とは?
特徴
インデックス投資は、S&P500や日経平均株価など「株価指数」に連動する投資信託やETFに投資する方法です。世界経済全体の成長に丸ごと乗るシンプルな戦略であり、長期的に右肩上がりの成長が期待できます。
メリット
- 世界経済の成長を取り込める
個別企業の業績に左右されず、幅広い銘柄に分散投資できます。 - 複利効果を最大限活かせる
配当金はファンド内で自動的に再投資されるため、課税を繰り延べつつ資産を増やせます。 - 手間がかからない
銘柄選びに悩む必要がなく、長期で放置しても成果が出やすいです。
デメリット
- 時間がかかる
長期的なメリットを考えて実施する投資であり、15年以上保持すればメリットが出る確率が高いです。 - 下落相場では一時的に資産が大きく減る可能性
世界的な金融危機の際には、大きな含み損を抱えることもあります。
インデックス投資でおすすめのファンド
インデックス投資は「世界経済の成長に乗る」シンプルな手法。新NISAのつみたて投資枠を活用するなら、以下のファンドが特に人気です。
① eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
- 全世界の株式にこれ1本で分散投資可能
- 信託報酬が年0.05775%と超低コスト(2025年8月現在)
- 長期積立の王道ファンド
② eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- 米国株500社に投資
- 過去30年の年平均リターンは約7%前後
- 世界経済を牽引する米国市場に集中投資したい人向け
③ 楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)
- 米国株市場全体(約4,000銘柄)に投資可能
- 成長力・分散力のバランスが良い
👉 基本的には、この3つから選んで積み立てれば間違いありません。
高配当株投資とは?
特徴
高配当株とは、その名の通り「配当金の利回りが比較的高い株式」のことを指します。例えば株価が1,000円で1株あたり50円の配当がある場合、配当利回りは5%となります。この利回りが3〜4%以上であれば、高配当株と呼ばれることが多いです。
メリット
- 定期的な収入が得られる
年2回や年4回の配当金が入ってくるため、給料以外の“第二の収入源”を持てる感覚があります。 - 心理的満足度が高い
実際に口座にお金が振り込まれるため、投資のモチベーション維持に繋がります。 - インフレ対策になり得る
企業が利益を伸ばせば、将来的に配当金が増配される可能性があります。
デメリット
- 減配・無配のリスク
企業業績が悪化すれば、当然配当金は減らされる可能性があります。 - 課税の影響
通常の証券口座では、配当金には20.315%の税金がかかります。 - 成長性の欠如
高配当株は成熟企業が多いため、株価の値上がりによるキャピタルゲインは限定的になる場合があります。
高配当株投資でおすすめの日本株候補
日本株で配当利回りが高く、財務も安定している銘柄を選びたい場合、以下の基準を重視しましょう:
- 自己資本比率60%以上
- 配当利回り4%以上
- 過去に大幅な減配・無配がない
候補例(2025年時点)
- 三菱HCキャピタル(8593):利回り約4.5%、安定した金融サービス業
- KDDI(9433):通信インフラで安定収益、利回り約3.5〜4%
- 伊藤忠商事(8001):商社株の中でも成長力が高く、連続増配実績
- オリックス(8591):金融・不動産・レンタル事業と多角化経営
※ただし、銀行株は景気に大きく左右されるため除外するのが無難です。
高配当株投資でおすすめの米国株ETF
米国株は配当文化が根付いており、高配当ETFも豊富です。新NISAの成長投資枠を使って購入可能。
① VYM(バンガード・米国高配当株ETF)
- 米国の大型安定企業約400銘柄に分散
- 配当利回り3%前後
② HDV(iシェアーズ・コア米国高配当ETF)
- 財務健全性の高い高配当株に集中
- エネルギーや通信セクターの比率が高い
③ SPYD(SPDR ポートフォリオS&P500高配当株式ETF)
- S&P500の中から配当利回り上位80銘柄に均等投資
- 配当利回りは4〜5%と高め
👉 日本株+米国ETFを組み合わせることで、安定と成長のバランスを取れます。
新NISAで考えるとどちらを優先すべき?
インデックス投資が有利な理由
新NISAには「つみたて投資枠(年120万円)」と「成長投資枠(年240万円)」があります。
つみたて投資枠は、金融庁が指定するインデックス型の投資信託にしか使えません。つまり、自動的にインデックス投資を優先する仕組みになっています。
特に20〜40代の資産形成期であれば、複利効果を長期間活かすことができるため、インデックス投資を優先した方が合理的です。
高配当株投資が有利な理由
一方で、成長投資枠を利用すれば、配当金を非課税で受け取ることができます。例えば、利回り5%の銘柄に1,200万円フルで投資すれば、年間60万円の配当金を非課税で得られる計算です。
これは、老後の生活費補填や教育費など「将来のキャッシュフロー確保」を重視する人にとっては大きなメリットになります。
実際には「二刀流」がベスト
結論としては、インデックス投資をベースにしつつ、高配当株をスパイス的に取り入れるのが現実的です。
例えば以下のような配分が考えられます:
- つみたて投資枠(120万円):全世界株インデックスやS&P500
- 成長投資枠(240万円):インデックスETF+高配当株分散投資
こうすることで、インデックス投資の成長性と、高配当株の安定収入の両方を享受できます。
シミュレーションで比較してみる
インデックス投資の場合
30歳から年間120万円をS&P500(年平均リターン6%と仮定)に投資すると、30年後には約1億円に到達します。これは複利の力を最大限活かした結果です。
高配当株投資の場合
同じく1,200万円を配当利回り5%の銘柄に投資すると、毎年60万円のキャッシュフローが得られます。生活費の一部を配当で賄えるため、心理的な安心感は非常に大きいでしょう。
ただし、こちらは資産の増加スピードは遅くなります。
私の結論
- 資産形成期(20〜40代):インデックス投資を優先・資産拡大を狙う時期
- 資産がある程度育った後(40代以降):高配当株を組み合わせてキャッシュフロー強化。子供の学費や老後の生活費などに充てる。
つまり、どちらか一方ではなく「ライフステージに応じて比重を変える」ことが重要です。
まとめ
- 高配当株投資は「安定収入」を得たい人向け
- インデックス投資は「効率よく資産拡大」を狙いたい人向け
- 新NISAでは両方を組み合わせる「二刀流」が合理的
最終的には、自分の性格や目的に合った方法を選ぶのが正解です。
「毎年の配当金で旅行に行きたい」という人は高配当株を優先すべきですし、「将来の資産規模を最大化したい」という人はインデックス投資を優先すべきでしょう。
あなたは「今の安心」を取りますか? それとも「未来の成長」を取りますか?
この問いへの答えが、投資戦略を決める一番のヒントになります。