
はじめに
「投資は結局メンタルとの戦いだ」なんて言葉をよく聞きます。確かに、同じ100万円を投資したとしても、商品によって精神的な安定度はまるで違います。実際に私自身が投資をして感じたこと、そして70歳になる父の考え方を交えながら、インデックス投資と高配当株投資の「メンタル的な差」について整理してみました。
インデックス投資は「売れない」不思議な魅力
私は積立NISAや特定口座でインデックス投資をしています。毎月コツコツ積み立てて、評価額も順調に増えてきました。
ですが…いざ生活費が必要になった時に「じゃあインデックスを少し崩そう」とは、なぜか思えないのです。

理由はシンプルで、「将来もっと値上がりするんじゃないか」という期待が強いから。
例えばS&P500に連動する投資信託を持っていると、これまでの実績や米国経済の強さを考えると「10年後にはもっと増えているかもしれない」と考えてしまう。つまり「崩したくない」気持ちが働くんですね。
面白いことに、この感覚は私だけでなく70歳になる父も同じでした。父も老後資金の一部をインデックス投資に振り分けていますが、「年齢的に将来の値上がりを期待しているわけじゃない」にもかかわらず、やっぱり売却に踏み切れない。

残り少ない人生、貯めてても仕方ないとは思うのじゃが、どうしても取り崩せないのじゃ。
おそらく、「せっかく積み立ててきたものを崩すことへの心理的抵抗」が働いているのだと思います。
つまりインデックス投資は「増やす資産」であり、「取り崩す資産」としてはどうしても使いにくい面があるのです。
配当金は「気兼ねなく使える」安心感
一方で、高配当株から入ってくる配当金は全く違う性質を持っています。
毎年、権利確定日を迎えると企業から配当が振り込まれます。証券口座に現金として着金しているのを見ると、これは「利益確定したもの」という認識になり、「使っても減らない」という安心感につながります。
例えば、年間で10万円の配当金が入ってきたとします。これを外食に使おうが、旅行に充てようが、精神的には全く罪悪感がない。元本を取り崩しているわけではなく、資産がそのまま残っている感覚だからです。
この「現金が口座に入ってくる」という体験は、インデックス投資では得られない大きな心理的効果です。
父も同じことを言っていて、年金に加えて入ってくる配当金をそのまま生活費や趣味に回すことに抵抗がないそうです。年齢を重ねるほど、この感覚は強くなるのかもしれません。
ライフステージによって活躍の場が変わる
ここまでの話をまとめると、
- インデックス投資 → 将来の資産拡大には最適。ただし取り崩しづらい。
- 高配当株投資 → 手取りのキャッシュフローを生み、心理的に使いやすい。
という特徴が見えてきます。
では、どちらを優先すべきなのか?
これはやはり「ライフステージ」によって変わると感じています。
資産拡大期(20〜50代)
この時期はできるだけ資産を増やすことが優先です。複利の力を最大化するためにも、インデックス投資を中心に据えた方が効率が良いでしょう。
高配当株はあくまで「気持ちの安定剤」や「お小遣い枠」として取り入れるのが現実的です。
ただし!子供の学費や習い事にお金がかかる時期は高配当株投資の比率を高めてもいいと思います。
「塾代は〇〇(企業名)が払ってくれている」と思えることが気持ちの安定につながるかと思います。
資産活用期(60代以降)
一方で、ある程度の資産が積み上がり、仕事からの収入が減ってくると「現金収入」が重視されるようになります。
このフェーズでは、インデックス投資の値上がり益よりも、高配当株からの安定的なキャッシュフローの方が心理的な満足度が高い。父のように「売るのは惜しいけど、入ってくる配当は気兼ねなく使える」という形が理想的に思えます。
まとめ
同じ投資額でも、精神的な安定度は投資商品によってまるで違います。
- インデックス投資 → 将来の値上がりを期待できる反面、「生活費に崩す」という使い方はしづらい。
- 高配当株投資 → 現金収入として心理的に気兼ねなく使えるが、資産拡大期には効率が落ちる。
結局のところ、どちらが正解というわけではなく、ライフステージによって役割が違うのだと思います。
資産形成期はインデックス投資で土台を作り、資産活用期には高配当株で「心地よく使えるお金」を得る。
この切り替えを意識して投資していくことが、メンタル面でも安心できる投資人生につながるのではないでしょうか。